参考文献(吉原紹介の巻)

2021年6月17日

これでアナタも吉原博士

当ブログで参考にしている文献を紹介します。

この記事では主に吉原を紹介しているものを取り上げます。

同じように見えて、所々異なることを書いていたり

著者の価値観や偏見が随所に見られるので。

ぜひ書店、図書館などでお手に取って見てください。

吉原を考証する際に参考にした文献はこちら

吉原を取り扱った創作物編はこちら

遊廓の世界(中村芝鶴)

明治から大正の吉原を知る貴重な声

  • 著者の中村芝鶴さんは明治から昭和にかけて活躍した歌舞伎役者です。
  • その母方は、吉原公園にかつてあった吉原有数の大見世大文字楼の楼主でした。
  • 幼少期に遊廓を託児所かわりに暮らし本物の花魁さんと過ごしていました。
  • 思い出を振り返りながら、当時の吉原の姿やしきたりを紹介する流れになっています。
  • ちなみに晩年は後進育成にあたりますが、その中には八代目坂東玉三郎さんがおり

女形の人間国宝の技には確実に吉原にいた本物の花魁のノウハウがありました。

見どころ

  • 見返し部分に明治時代の吉原の地図がある
  • 明治後期~昭和初期までの様子がわかる
  • 吉原のしきたりや用語を歌舞伎役者目線で紹介してある
  • 当時の大文字楼、仲ノ町通りの写真あり

吉原はこんな所でございました(福田利子)

昭和から現代の吉原の語り部

  • 著者の福田利子さんは仲ノ町通りにあった料亭(松葉屋)の女将さん
  • 3歳の時に松葉屋の養女になり、高校卒業後から女将として仕込まれる
  • 時代的には上の中村芝鶴さんが歌舞伎役者として本格的に活動するころからの話なので入れ違い

見どころ

  • 戦前~戦時中~赤線廃止~昭和末期まで分かる
  • 本の中ごろに昭和12年ごろの吉原の地図あり
  • 大文字楼さんの言及があり「遊廓の世界」とつながっている部分もあって面白い

江戸の華 吉原遊廓

吉原をCGで再現する斬新な見せ方

一見よくある吉原案内本(ムック本)ですが

面白いのが吉原をCG加工で表現しているという所

この手の本は挿絵に昔の絵を掲載しますが

そういった物が受け付けられなかったり

2次元の絵では伝わり切れないところもあったりしますが

CGにすることで解消されます

CGのボリュームも見開きに1枚はあるので飽きませんでした。

図解 吉原遊廓(小菅宏)

丁寧な説明からウンチクまで広く知れる1冊

上の「江戸の華 吉原遊廓」と同じムック本スタイルですが

こちらは膨大な文字数と挿絵は昔の絵でいっぱい

でも見やすいように工夫してるから苦痛ではなくスラスラ見れました。

見どころ

  • 現代地図に新吉原時代の町割りを重ねた図がある
  • コラムが多くちょっとしたウンチクが学べる
  • 吉原の年中行事(紋日)一覧がある

吉原という異界(塩見鮮一郎)

吉原を「苦界」と見なさなかった著者の視点

著者の塩見さんは主に貧民や格差についての評論本で有名です。

最近では大河ドラマでおなじみの渋沢栄一の活躍を書いた「貧民の帝都」が話題になりました。

貧困層に対しても分け隔てなく見ているので「苦界」という先入観なく淡々と紹介してくれます。

みどころ

  • 主に吉原誕生~最盛期(1700年後半)までを紹介
  • 歴代高尾太夫について最も紹介している
  • ほかの吉原紹介本にあるような基本的な紹介は少ない

図説 吉原入門(永井義男)

文字通りの「入門書」広く浅く学ぶならコレ

著者は「いちげきシリーズ」でお馴染みのお方

吉原に関するシステムから用語まで簡潔にまとめてあります。

ただ冒頭で言ってある通り「文化文政期(1804ー1830」を中心に纏められており

あくまで吉原の歴史の1部なので注意!

みどころ

  • 見やすさでは1番。図や絵もたくさんあり飽きない作りです。
  • 他の著書でも見られますが、所々で「苦界であるべき」という感情が伝わってくる

強いメッセージが含まれます。

  • 吉原を知るついでに偏った価値観が植え付けられないように注意!